こども映画教室<中等クラス>2008「心が動く」

春の嵐が吹き荒れていますね。
庭の椿がぼとぼとと花を落とされています。でも一方で、レンギョウや花ニラ(英語名はスプリングスターフラワーなのに!)がかわいい花をつけています。アヤメのつぼみもふくらんできました。
先週末、20,21,22の3連休、プロの映画監督と(今回は萩生田宏治監督)こどもたちが映画を作る、「こども映画教室<中等クラス>」を金沢でやってきました。
萩生田監督の決めたテーマは「心が動く」。
子供たちはいったいどんなことをしたと思いますか?
ドキュメンタリーを撮ったこどもたちは町の公園にでかけて、
インタビューします。

「どんなときに心が動きますか?」
「心はどこにありますか?」
「心のかたちは?」
子供たちが考えた質問です。
それに大人や子供が一生懸命考えて答えます。
「自分の子供が生まれたとき」
「寒かったのが春になったことを感じたとき」
「おいしいものを食べたとき」
「ハートのかたち」
「かたちはないんじゃないかな? みんなそれぞれちがうから」
映画のタイトルは
『心のひみつ』!

そして、ドラマが2本、期せずしてどれも「思いやり」によって「心が動く」というものだった。
大人たちの諍いが子供たちの
「宝、宝、と大人は言うけど、子供に夢を見せるのが大人のしごとでしょ、喧嘩はやめて仲良く遊ぼうよ」という台詞(もちろん、子供たちが考えた台詞です)によって、心が動き、諍いをやめる。という『かくされた宝物』

そして、親のいない兄弟が荒くれて、カツアゲ(!!)なんかばかりしていたのが、
ある日、すれ違った大人とまた戦いをして、兄が死に、激怒してその相手を殺してしまった弟。殺してしまった相手も兄弟と同じペンダントをしていた…、「え?!おとうさん?!」
お父さんのペンダントにはメッセージが…
「強さは人を傷つけるためではなく、自分を守り、人を守るために使いなさい。つよし、たかしへ、父より」
改心した弟は子供たちをあつめて武道を教えるのであった。
タイトルは
『親のしつけが問題だ』(…!!!!)

どれもすばらしかったのだけど、個人的に完全にうちのめされたのは
『はっぱがあるく』
という小学1年生の男子2人と小学2年の女子が作ったドキュメンタリー(ともなんともいえないもの)。
「心がうごくのはどんなとき」「心はどこにあるの」「心の形は?」と人に聞いていたのが、
あるとき地球儀の着ぐるみを着た人に出会ったところから、なぜか彼らは「木」や「花」「虫」にインタビューを始めたのだ。
「いつからそこにいるんですか?」
「どんどん大きくなりますね」

その感性に感動していると、
3日目の強風の中、カメラが風にもまれている映像。
後ろで何か子供たちが言っている。
そのうち彼らが「風」を撮ろうとしていることに気づく。
そして、ゆれにゆれていたカメラは大きな木々がばさばさとゆれる姿を捉え、マイクにはビュービューとかぜの音が入ってくる。
「あ、風だ」

そして女の子が離した紙切れがあっという間に空に舞い上がっていくのをしっかりカメラが追っていくのだ。

ああああ、この子達は、カメラを回しながら、まさに「心が動いている」んだ!
「心が動く」ままにカメラがそれを捉えているんだ!

なんだか、原初的な「心」、むきだしの「魂」みたいなものを映像にして見てしまったような気がした。この子たちはまだまだ地上に降りてきていないんだなー。

ああ、いい映画教室だった。ほんとにやっててよかったよ。
萩生田さん、スタッフのみんな、そしてこどもたち、ありがとー!