「子供の情景」明日より公開

イランの映画一家、マフマルバフ・ファミリーの末っ子ハナちゃん。
弱冠19歳で撮りあげたのが、このアフガニスタンの子供たちを描いた傑作。

シネモンドでは7月25日から公開です!
http://kodomo.cinemacafe.net/index_pc.html


ペルシャ語の原題はシューマンの美しい「子供の情景」ではなくて、
ブッダは恥辱のあまり崩れ落ちた」という衝撃的なものです。
(公式サイトを見てください)
http://kodomo.cinemacafe.net/index_pc.html


子供の情景
[2007/イラン・フランス/1時間21分]
監督:ハナ・マフマルバフ
出演:ニクバクト・ノルーズ、アッバス・アリジョメ
公式ホームページ →→→ http://kodomo.cinemacafe.net/
サンセバスチャン映画祭 審査員賞/ベルリン映画祭 クリスタル・ベア賞
ローマ映画祭 ユニセフ賞/モントリオール映画祭 革新の映画賞
テサロニキ映画祭 女性と平等の機会賞/アジア・フィルム・アワード最優秀作品 ノミネート
第21回東京国際女性映画祭出品作品

舞台は、破壊された仏像がいまも瓦礫となって残るアフガニスタンバーミヤン
学校に行きたい6歳の少女バクタイはノートを買うお金を得るため、街に出て卵を売ろうとする。四苦八苦の末、何とかバクタイはノートを手に入れるが、学校に行く途中で、少年たちに取り囲まれてしまう。そして少年たちは、タリバンを真似た“戦争ごっこ”でバクタイを怖がらせる…。

映画『子供の情景』は、ひとりの少女の小さな冒険を通して、戦争の無慈悲さ、大人が子供に与える影響の重大さを寓話的に描く。
監督は、イラン映画界の新星ハナ・マフマルバフ。名匠アッバス・キアロスタミ監督の『友だちのうちはどこ?』をおもわせるユーモアと瑞々しさ、そしてハナの父、モフセン・マフマルバフ監督の『カンダハール』の衝撃とイマジネーションをあわせもち、世界格好の映画祭で数々の賞に輝いた。

岩波ホールにて4月18日より公開
●上映時間 
月〜土・祝 11:30/2:00/4:30/6:50
日  11:30/2:00/4:30


<絶賛のコメント多数です!>

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緒方貞子さん(国際協力機構[JICA]理事長)

「私も学校に行く!」
教室に向かって歩き出すアフガニスタンの少女の勇気に、胸を打たれました。

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天童荒太さん(作家)

(短いバージョン)
大きな悲劇に見舞われた地の、子供たちの真の悲しみと願いを伝える映画がここにあ
る。知ることは愛につながる。せっかくの知る機会、愛の機会を、逃さないでほしい。

(長いバージョン)
バーミヤンの仏像は人々の無関心から崩れ落ちたと、敬愛する映画監督モフセン・マ
フマルバフは語った。「子供の情景」の監督、ハナの父だ。ハナは若々しい感性と勇
気で、いままた世界から忘れられつつある地の、子供たちに何が起きているかを、寓
話風に、だが痛々しいほどの現実感をもって表現した。ただ学校へ行きたいと願った
だけの少女が経験する悲しみを、周囲の子供らが味わっている苦しみを、共有してほ
しい。知っていれば、ものの見方も、言葉づかいも変わっていく。いつかは自分にで
きる力づけの方法が見つかることもあるだろう。だから知ることは、愛につながる。
この映画があなた方の前にある。せっかくの愛の機会を逃さないでほしい。

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■葉祥明さん(創作絵本作家)

この映画を観ながら、何故か僕は「星の王子さま」を思い浮べた。サン=テグジュペ
リは、星の王子さまを通じて、「大人って変だね!」って言ってますが、この映画の
監督ハナ・マフマルバフは、「男って変だね!」と、主演の少女バクタイを通じて、
つぶやくのです。「戦争ごっこはきらい!」「処刑は嫌!」男の子たちは、成長した
ら戦う男になる。そのための戦争ごっこ。そして学校に行くことも、また別の闘いの
ため。女の子は、美しいもの、可愛いもの、わくわくする物語、そして自分自身をと
ても大切にするのです。何千年も続いた、男性原理による文明の終りをこの映画は告
げている。僕は男性の一人として、暴力によって破壊された大仏同様、大いに恥入っ
ている。この映画は今世紀の最重要映画のひとつだ。

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■Junichiさん(アーティスト)

6歳の少女の一日はなんて厳しく、勇敢なのだろう。
戦争ごっこで遊ぶ子どもたちも、大人を真似して生き生きしている。
大人がアフガニスタンの子どもたちに与えた世界は、驚くほど純粋で胸が痛い。

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石川直樹さん(写真家)

アフガニスタンを舞台にした子供の物語という体裁をとってはいるが、ここに写し出
されるのは、生きている人間そのものであり、彼ら彼女らから発せられる言葉以前の
叫びでもある。ぼくはこの作品が、とても好きだ。

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川内倫子さん(写真家)

この世界に生きるわたしたちの持つ矛盾、圧倒的で理不尽な暴力に対する叫びを全編
に感じる。
直接的に、詩的に訴えかける美しい映像は見事だ。

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小林エリカさん(作家)

ハナさんの監督する作品をはじめて見たのは「ハナのアフガンノート」。その後、彼
女はいったいどんな映画をつくるのだろうと思っていたら、この映画が飛び出してき
ました。主人公のちびっちゃい女の子バクタイの言葉や可愛らしさにくすくす笑って
いるうちに、その背後にひそむ「戦 争」が浮かびあがってきます。でも、そこにあ
るのは、それでもその現実を生きぬこうとする、ユーモ アと力強さ。今のアフガニ
スタンを、世界を、フィクションで描くこと。ひとつの映画として、子どもたちを、
ひとりの女の子を、描くこと。
そこには衝撃的な殺人も血もないがゆえに、どんなニュース映像より強い力をもって
わたしたちの心にしのび込んでくるのじゃないか、とわたしは思うのです。 それを
やってのけるハナさんは、とてもカッコイイ。

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■Candle JUNEさん(キャンドルアーティスト)

03年にアフガニスタンに行きました。
9.11からの報復攻撃を止められなかった一人の日本人として誰かに謝りたくて。
”戦争を終わらせる”
そう思ったのもこの旅からだ。
戦争からは悲しみの子供たちが生まれている。
その悲しみが憎しみに変わらないように。
世界中の大人たちはこの『子供の情景』をみなければならない。

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小山内美江子さん(脚本家)

六才の主人公と共に映画の中を歩けば、どのショットにもメッセージがぎっしりつまっ
ていることに気付く。

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■羽仁 進さん(映画監督)

主役の不思議な幼い大女優(!)には、忘れられない感銘を受けた。
もちろん少女監督マフマルバフの才能にも拍手。人類の大問題にストレートに迫って
いる

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■華恵さん(エッセイスト)

少年達が大人の銃撃戦を真似た「戦争ごっこ」なのに、実際の銃撃戦や流血の場面が
あるわけではないのに、とてつもない暴力と残酷さが伝わってくる。戦争が続く世界
で生きる子供達の現実、大人が作り出した暴力の世界で生きる術を身に着けざるを得
ない子供達の姿を、私達はこの映画を通して目の当たりにする。
銃撃を真似る少年達の「シューシューシュー」という声。「その大金をどうするの?
 卵はたった五ルピーよ。ノートを買いたいの」と言うバクタイの声。「死んだふり
をすれば、彼らは追いかけてこない。自由になりたいなら死ぬんだ!」と叫ぶアッバ
スの声。全て耳から離れない。
卵がパンに、パンはノートに……。破られたノートは何に変わるのだろうか。