「アニエスの浜辺」

試写でアニエス・ヴァルダの新作を見てきた。
撮影時81歳だという、ヴァルダおばさんは、まるで子供のようにエネルギッシュでパワフル。
その強烈な個性を隠すことなく、飾ることなく私たちに見せてくれる。
私の大好きなジャック・ドゥミの、奥さんだ。
初めて「幸福(しあわせ)」を見たとき、なんて残酷な映画だと思った。そして、なんて冷たい映画をとる人だろうと思った。あまり近寄りたくない、そんな印象をうけた。

今回の自分史である「アニエスの浜辺」を見て、彼女が映画作家にとどまらない、類まれな表現者であることに気づかされた。
膨大な個人史を彩る、さまざまな映像、オブジェ、それらをさも楽しげに寄せ集め、こちゃこちゃといじって、素敵なものにしてしまう。ブリコラージュの天才だ、と思った。

10月から都内は岩波ホールで公開されます。