ミツバチのささやき


ミツバチのささやき」そして「エル・スール」が今週末から上映されます。

ミツバチのささやき
どう表現したらいいのか、、、
私にとっては、特別な映画です。

宝物のような映画。

大学のときに新しい映画館のオープニング前からバイトに入って、、
そのオープニング作品がこの
ミツバチのささやき」だった。
映画館の暗闇の一番後ろに立って、お客さんのため息みたいなもので劇場の空気が揺らぐのを感じた。そのとき、はじめて「自分が大好きな映画をみてもらって、お客さんが自分のすきなシーンで反応してくれたら、どんなにか幸せだろう」って思ったのが、今の仕事につながる発端だったんです。

DVDボックスが出たと同時に購入しましたが、でもでも、やっぱり映画館でフィルムでないとだめなのです。
あの繊細な光は暗闇で体験するものなのです。


だから、「フィルムで見る機会があるなら、何をおいても、駆けつける映画」です。
実際、東京でひさびさのリバイバル上映。駆けつけました。

暗闇の中で目を凝らしながら、体中の感覚をとぎすまして観る、というか。。
映画が終わったとき、なにかを体験した、という感覚を強く抱かせる映画。

ビクトル・エリセという監督は10年に1本しか撮ってないのです。
ミツバチのささやき」の10年後に撮ったのが「エル・スール」です。
毎回、だから映画ファンが期待に期待して、それを裏切らない。

ぜひぜひ暗闇で、映写機が映し出すフィルムの光に身をゆだねてください。

ミツバチのささやき
10/24(土)〜10/30(金)12:45/20:10
[1973/スペイン/1時間39分]
監督・原案:ビクトル・エリセ
出演:アナ・トレント、イサベル・テリェリア、フェルナンド・フェルナン・ゴメス
サン・セバスチャン国際映画祭グランプリ 受賞
シカゴ国際映画祭シルヴァー・ヒューゴー特別賞 受賞
ビクトル・エリセ監督の記念すべき長篇第一作。撮影はフランコ独裁政権時代の1973年に行われた。繊細な感性と、純粋極まりない簡潔さの映像と音が綴る、 1940年代カスティーリャ地方の小さな村の、内戦に敗れた養蜂家の物語。巡回上映で『フランケンシュタイン』を観た少女アナが、姉イサベルのフランケンシュタインは現実にいる、<ソイ・アナ(私はアナよ)>と呼びかければいつでも出てきてくれるという話を信じて、探し始める…。アナ・トレントつぶらな瞳がフランケンシュタインを見つめ、呼びかけに応じるように現れた内戦の兵士にリンゴをさしだす場面など、数々の忘れえぬシーンから、ラストでは一挙に映画館でしか味わえぬ、神秘的な光の横溢に昇華する。


「エル・スール」
10/24(土)〜10/30(金)14:40/18:20
[1983/スペイン・フランス/1時間35分]
監督・脚本:ビクトル・エリセ
出演:オメロ・アントヌッティ、ソンソレス・アラングーレン、イシアル・ボリャン
1983年カンヌ国際映画祭公式出品作品
シカゴ国際映画祭 グランプリ受賞
ミツバチのささやき』から10年、生まれ故郷アンダルシアを捨てて活きる主人公の父(オメロ・アントヌッティ)の、南=エル・スールへの断ちがたい想いを、娘の目を通じて描く。エリセ夫人のアデライダ・ガルシア=モラレスが書いた小説が原作。冒頭、窓の外の光が明るんでいく父の家出の場面をはじめ、8歳の少女エストレリャが水源の位置を振り子で当てる父に従う場面や、父がカフェで手紙を読んでいるのを、窓の外から見つめる場面、15歳に成長するワンシーンの秋の見事なシーンがわりや、アンダルシアの幻想の場面など、息をのむ美しさで物語が展開する。